バレリーナになる為に3才~6歳のご両親と一緒に学ぶ「バレエ小説」


結婚して5年、3才になる元気いっぱいの娘が1人いる。

最近、この子が元気に明るく育つために、何かに夢中になり、身体も心も成長する、きっかけを作ってあげたいと思うようになっていた。

「私も母親になってきたのかな」 そう言って鏡の前でニコッと微笑んだ。

今居 美喜 31歳。   神戸に在住している。

近所に美喜の実家があるので、仕事に行っているときは母親に娘を見てもらっている。

働かなくても良いのだけれど、娘にいろいろな経験をさせたいと思って、3ヶ月前から仕事を始めた。

仕事は、近所の内科で受付のパートをしている。小児科もあるので、娘が風邪を引いたときに親しくなり、お手伝いさせて頂いている。

バレエは観たことがない、ニュースで聞いたことがあり知っている程度。

バレエは世界的に広まっているが、日本では知らない観たことがない人の方が多い。

美喜もその1人である。

ある晴れた日、鏡の前でニコッとした後に、いつものように娘を実家の母親に預けに行く途中、看板を取り付ける工事をしていた。

「ずいぶん大きな看板を取り付けるのね」

「ピンクいろー!」

と娘が大きな声で叫んだ。

その声に工事をしている方が一斉にこちらを向いて驚いた。

「舞!大きな声ださないのー」

美喜は、娘の舞の口を手でふさいで言いました。

「ははは!大きなピンクやろー」

看板を取り付けている1人の背が高く姿勢がよい男が、舞に向かって言った。

「おっきぅいーー」

美喜の手を振り払って、舞が大きな声で返事をした。

「ここにバレエ教室ができるみたいやから、お嬢ちゃんもバレエしたらどうやー」

看板を取り付けながら、姿勢が良い背の高い男が楽しそうに言った。

「バレエ。。。」

「お母さん、バレエってなーにー」

舞は、じーっと美喜の顔を見てバレエの事を聞いてきた。

「バレエは踊り。。バレリーナっさんが綺麗に踊るだよ。。」

わかったようで、わからないまま、美喜は舞に答えた。

「バレエはな、ヨーロッパで生まれて、女の人がみんなの前で綺麗な衣装を着て、美しい曲が流れた中で、優雅に美しく踊りを魅せるものなんやぞ」

「お嬢ちゃんも踊ってみたらいいぞ」

いつの間にか看板を取り付け終わり、背の高い男が近寄って、舞に話しかけていた。

「ふーん、舞もバレエする」

そう言って、男の前でニコッと微笑んだ。

「ははは、それはいい。踊れるようになったら見に行くからな。楽しみやー」

そう言って、手を振り男はトラックに乗って行ってしまった。

「お母さん、舞、バレエする」

笑顔で舞は美喜の顔を見ながら言った。

「うん、バレエ教室が始まったら一度行って見ようね。」

そう笑顔で美喜も、舞の顔を見ながら返事をした。

「そうかー、バレエを習わせるのは、舞にとって良いことかもしれないなぁ。」

そう思いながら、実家へ舞と手を繋ながら歩き始めた。



日本でバレエの世界と出会うきっかけは、子供の時期の習い事だと思います。

女の子の場合は、ピアノ、水泳、書道、などもあります。

そんな習い事の中からバレエを選ぶきっかけは、近所にバレエ教室がある、知り合いにバレエを踊っている人がいる、などだと思います。

子供としては、何を習いに行っても楽しいか、面白いかが大切です。

体験で行き、次にまた行きたいと想うかどうか楽しい事が次に繋がります。

子供がバレエを習い事から選んだ後は、子供自身がバレエを学んで行くのは当然です。続ける行くかは子供の気持ち次第です。

ですが、習い事を続ける為には!

もう一つ大切な事があります。

それは、お父さん・お母さんの教育と協力が絶対に必要です。

お父さん・お母さんがバレエをよく知っている事は少ないと思います。

バレエを習う子供のバレリーナの時期に、少し残念な事を感じるときがあります。

バレエは、一般的にわからない事が多い世界だと思います。だからついバレエ教室に子供を通わせて、後は全て任せる、そんな気持ちになってしまいます。

バレエ教室に関わりすぎる事はありませんが、バレエを踊る子供に、もっと関わって欲しいと思います。

お父さん・お母さんも忙しいと思います。

ですが、子供の時のバレリーナがバレエを踊る事は、1人では難しい事です。

バレエ教室とご両親の協力が無ければ前に進むことができません。

だから、バレエ教室へお子様が通っているのでしたら、お願いがあります。

お父さん・お母さんも、バレエを学んで欲しいと思います。バレエは踊るだけではありません。踊るバレリーナの周りに沢山の応援団・サポーターがいます。

応援団・サポーターがいないバレリーナは、決して美しく魅力的に踊ることは出来ません。

1人でバレリーナには決してなれません。


バレエボディトレーナーは、バレリーナの為に協力してくれる応援団・サポーターも、応援させて頂いております。

お父さん・お母さんも、いつでも応援させていただきます。



娘の舞が「バレエをする!」と言ってから、半年がたった。

その間に舞を、ピアノ教室、スイミングスクール、体験しに行っている。

「舞、ピアノは楽しかった?」

「んー、楽しかったよ。でも聞くのが好き!」

舞は、そう言って耳に手を添え、目をつむってみせた。

舞は、いろんな表現をする。もうすぐ4歳になる、どこでこんな表現を覚えたのか。母親の美喜も不思議に思っている。

舞は、声が元気で大きい。まだ言葉は子供なので得意ではない。だけど顔の表情と手や身体を使って感情を表す事が得意の女の子だ。

人の前でも恥ずかしがらないで、明るく元気なのは、母親に似ている。

そんな舞が、何かを思い出したようだ。

両手を顔の前でパチっと叩いて大きな声で言った。

「お母さん!舞、バレエするって言ってたね」

そう言って美喜の顔をのぞき込んできた。

美喜も、舞に言われて思い出した。

「そうだね!明日バレエ教室に行ってみようか!」

そう美喜が言うと、舞は両手を上げて笑顔で返事をした。

「いくー!バレエ教室いこー!」

そう言って二人で笑って万歳した。


まだ、バレエがどんなものなのか知らない親子だが、何かバレエに引っ張られているようだ。

生きていると不思議な事が起こるときがある。全く繋がりが無かったのに、ある日なぜかわからないけど目の前に現れて、出会う事になる。運命ってあるのかもしれませんね。


さっそく次の日に、二人でバレエ教室の見学に行った。

教室は、外から窓を通して見ることが出来る。その日は、男性のダンサーが1人でレッスンをしていた。

窓からスタジオをよく見てみると、見たことがある顔のダンサーだった。

その時、舞が大きな声で叫んだ。

「あ!ピンクいーろーのひとー」

そう、スタジオで踊っている男性ダンサーは、看板を取り付けていて、舞に「バレエを踊ったらいいぞ!」って話しかけてきた、姿勢が良い背の高い男性だった。

舞の大きな声が聞こえたみたいで、男性ダンサーは、踊りをやめて窓へ近づいてきた。

窓を開けて、笑顔で話しかけてきた。

「お!お嬢ちゃん。バレエを踊りにきたんやね!」

「待ってたよ!」

そう言って、舞の目をじっと見ていた。

舞も、その男性ダンサーの目を見て、ニコッと笑顔のまま、手を前に出した。

するとその手を男性ダンサーが握りしめ、握手をした。

横で見ていた美喜は、それがとても自然だと感じた。

出会うことが決められている事は、とても自然な感覚なんだと思います。このバレエとの出会いが舞にとっても、美喜にとっても、決められた自然な事だったようです。



舞がバレエ教室に通い出してもうすぐ1年になる。


バレエ教室でレッスンを受けるには、レオタード、バレエシューズ、タオル、水、それらを入れるカバン、

まだ小さなバレリーナですので、荷物も少ないですが、冬のレッスンと夏のレッスンでは、荷物の量が変わります。

カバンの膨らみ方が違ってきます。年齢によっても変わるのがおもしろい。

荷物のほかに、お月謝が必要です。各教室によって料金は違います。その他には発表会などの舞台の参加出演料などにお金がかかります。これも教室によって違い、舞台で踊る演目によって違ってきます。

何を始めるにも、最初に準備する用品、時間、お金など必要なことはあります。バレエだから特別なことはありません。その辺は心配しないで欲しいと思います。


夏が終わった9月中頃なのに、今年はまだまだ暑さが残っている。まだ暑いお昼休みの病院の事務所から笑い声が起こっていた。

「美喜さんの娘さんのバレエ習ってるのよね」

美喜の働いている内科のベテランの看護師が、昼食をとりながら話しかけていた。

「そうです。舞がバレエをやりたいって言ってからもうすぐ1年になります」
「12月に発表会があるんです。その練習をしてるみたいで、家の中でいつも踊ってます」

そう言って美喜は、舞が踊っている真似を箸を持ちながらみせた。

「そうそう舞ちゃんって名前だったね。」
「舞ちゃん、楽しく続けてるのね!よかったね、好きなことが見つかったみたいで!」

「そうなんです。なぜかわからないのですが、バレエがとても好きみたいです。」

そう何気ない会話を、いつものようにしていた美喜が、「なんで舞は、バレエが好きなんだろう? バレエは何が楽しいんだろう」、そんな気持ちがふっとでてきた。

「でも、美喜さんはバレエの事は詳しいの?」
「バレエは芸術なので興味がなければわからない世界だからね」

少し心配そうに、ベテランの看護師は美喜に聞いた。

「私ですか、まったくバレエの事はわからないです」
「今はバレエ教室へ通わせているので、先生にお任せしている感じで安心してしまっています」

「そう。。。普通はそうよね。」
「習い事だからね。。。先生に何か言うわけにもいかないので任せるのが普通よね。」

「少しバレエの事で言ってもいい?」

そう言ってベテランの看護師は真面目な顔になった。

「はい、お願いします」

美喜も真面目な看護師の姿勢に押されて姿勢が良くなった。

「バレエは芸術なので、美しい、綺麗、楽しい、素晴らしい、などの感情・感性が大切なの」

「バレエ教室、バレエ教師も大切だけど、今の舞ちゃんの年齢ぐらいだと、お母さんと一緒にバレエを学んだり、楽しんだりすることが、とても大切な時期なの」

「え、そうなんですね。」

「そうなの、舞ちゃんの為に、しっかりと出会った好きなバレエを通して、大切な感情・感性を育てて欲しいと思うわ」

「そのためには、美喜さんがバレエに興味を持ってみることが出来るかかな!」

「そうなんですね!私がバレエに興味を持つことが大切なんですね!」
「そうですね、お任せしていれば安心って思っていてはだめですね。」

舞の為にパートの仕事を始めて、好きなことを見つけてあげて、教室に通わせお任せ。。。それだけで安心していた。何か違うと感じていたが、常識・普通に流されていた事に気が付いた。

そう美喜は、もう一度なんのための働き始めたのか、もっと時間を作り舞の事を考えていかなければいけないと目が覚めた感じがしていた。

私がバレエに興味を持つ。

バレエを知りたい。

そう思う気持ちが大きくなっているのを感じていました。



明日は、娘の舞がバレエ教室でレッスンしてから初めての発表会。

舞は、楽しみで仕方がない様子だ。時間があれば踊っている。時より真剣な顔をしながら、そうかと思うとニコニコしながら踊っている。

舞は、考えていることや思っていることを表に出すのが得意なようだ。

母親の美喜も舞と過ごしていて感じている。

以前までの美喜ならば、ただ元気で明るく育ってるので良かった!と思うだけだっただろう。

バレエを知り、一緒に楽しんだり、美しい、綺麗などの感情・感性を育てていく事が、バレエを踊るバレリーナには必要だと教わってから、バレエに興味を持つようになったから、舞への気持ちが変わってきているのだろう。

「舞、明日の発表会は緊張しないの?」

母親として落ち着かなく心配なので、踊っている舞き向かって話しかけた。

「ん?きんちょうってなに?」

舞は、首を傾げて聞いてきた。

「そうかー、まだ緊張するってわからないよね。」

「緊張って言うのは、心配する・ドキドキする・そわそわする、わかるかな?」

美喜は、少し説明するのが難しいと感じたので、感覚的な表現で伝えてみようと言ってみた。

「んーーん。心配も、ドキドキも、そわそわも感じてないよ!」

「綺麗に上手に踊ってるところを見せれるようにって思ってる!」

舞は、そう言って、ニコッと笑顔でこたえた。

「そうか!そうよね!」
「お母さん、舞が踊るのを見るの楽しみだからね。ガンバってね。応援してるよ!」

美喜は、心配して、緊張してるのは、自分だと思いながら、舞にエールを送っていた。

これでも、美喜はベテラン看護士に教えてもらってから、バレエに興味を持って、自分自身でいろいろとバレエのことを学んでいた。

ネットで検索した情報を読んでみたり、海外のバレエカンパニーのDVDを買って、舞と一緒に見て感動したり、バレエを学んでいた。

だが、自分だけではバレエの事を、どの様に考えて、感じれば良いのかわからないと思うようになっていた。

誰かにバレエの事を教えてもらいたい!と考えるようになっていた。

「誰に教えてもらえばいいんだろう?」

美喜は、仕事場の内科の受付に座りながら考えていた。

「看護士の黒沢さんは、なぜバレエに詳しかったんだろう?」

美喜は、ふっと!頭の中に黒沢さんの事を思い出した。

「そういえば、なぜ教えてもらった時に気にならなかったんだろう?」

「黒沢さんに聞いてみよう!」
「今日は。。。あ!ちょうど仕事が終わる時間が一緒だわ」

美喜は、そう独り言を言って、受付をしながらひっそりと喜んでいた。

「あ!00さん。お大事にして下さい!」
「は、仕事!仕事!(笑)」

その日の美紀の仕事が終わり更衣室で着替えていると、ベテラン看護士の黒沢さんも仕事を終えて着替えに来た。

「あ!黒沢さん、お疲れさまでした。」

「あら、お疲れさま、美喜さん。」

お互い少し疲れていたんだが、挨拶することで少し元気になった気がした。

やはり挨拶は大切だと思う!

「あの、少しお時間ありますか?」
「少しバレエの事をお聞きしたいんです」

美喜は、少し心配な感じで黒沢に話しかけた。

「いいわよ!」
「私で良かったら、いつでも聞いてね」

黒沢は、心配そうな美喜のことを感じたので、大丈夫!って思ってもらうような声のトーンと笑顔で答えた。

「良かったです!ありがとうございます!」

美喜は、ホッとした笑顔でお礼を言った。
だけど、その後すぐに心配な顔に戻っていた。

「あの。。すみません。。」

「バレエの話を聞かせて欲しいと言ったのですが、、、」

「聞きたいと思っていることは沢山あるんですが、どこからどれだけ聞けばいいのかが、わからないんです」

「だから、まずは黒沢さんが、なぜバレエに詳しいのかを教えてもらいたいと思っています!」

「すみません、失礼な事を聞いてと思うんです。わたし」

美喜は、仕事場ではお昼などで一緒になって話をする程度の関係なので、失礼だと感じていた。

「そうよね。バレエを学ぶって言っても、何を学べばいいのかわからないわよね。」

「私のバレエの事を聞きたいのね!いいわよ。」

「それなら、次の仕事のお休みの時に美喜さんの家にお邪魔してもいいかしら?」

「それなら、舞ちゃんの心配もしなくて、ゆっくり話が出来るでしょ?」

「はい、ありがとうございます。」
「ぜひ、家へお越し下さい。宜しくお願いします。」

黒沢さんは、全てわかってる感じがする。周りをよく見て、私なんかの為にも準備して動いて下さる人なんだと。

そう美喜は嬉しくて、仕事の疲れが吹っ飛んでいました。次の休み、黒沢さんとバレエの話が出来ることを楽しみなので、自然と走り出しながら舞を迎えに帰っていた。



1日が過ぎていくのが早い時は、充実している時だと言われる。

最近の美喜は、充実しているのだろう。一週間が過ぎるのが早いと口癖のように言っていた。

「今週も仕事が終わり、あっという間の一週間だったな~」

そう言って娘に舞を実家に迎えに行きながら独り言を言っていた。

ここ最近は、仕事も慣れてきて生活リズムも安定しているので幸せだと感じている美喜である。

少し不安なことは、舞が好きになったバレエの事だと思っている。

「明日は、ベテラン看護士の黒沢さんが家へきて下さる日だ!早くバレエの話が聞きたいな!」

少し楽しみで不安な気持ちの美喜。

実家へ付いて母親と日常の話をしながら、舞を抱っこし、ムギューっと抱きしめて遊んでいる。いつもの時間が流れていた。

これから、バレエの世界に踏み込む前の、普通の世界の幸せの時間。

普通になんの刺激もない毎日の方が幸せだと思う。だけど人は、それではつまらないと感じてしまう。不思議な生き物です。

あなたは、どうですか?

美喜は、そんな毎日も大切だけれど、これからバレエと関わる事で少し何かが変わるかも!

なぜそう感じるのかわからないが、明日、黒沢さんと話をする事で何かが動き出す予感がしていた。



今朝は晴天!気持ちの良い1日になりそうだ。
「ピンポーン」

「はーい!」

10時30分、黒沢さんが家へ来て下さった。

「おはようございます。お待ちしてました。」

「本当に来て下さってありがとうございます。どうぞ、お上がり下さい。」

「おはようございます。今日はいいお天気で良かった!」

「これ舞ちゃんも食べれると思うんだけど、ゼリーです。少し冷やしてあるけど冷蔵庫に入れてね。」

「あ!舞ちゃん、はい、どうぞ食べてね」

「ありがとうございます!」

舞も黒沢さんを楽しみに待っていたようで、玄関まで一緒に向けに来ていた。

ちゃっかりお土産を頂いて、すぐに冷蔵庫へ向かってゼリーを持って行った(笑)

「こら、舞ーー、もーー恥ずかしい(>_<)」

「ふふふ、いいじゃない!子供はそれぐらいがいいわよ(笑)」

朝から賑やかで、楽しい空気が流れていた。

しばらく楽しい空気が続いていたのだが、次第にゆっくりと落ち着いた空気に変わってきた。

落ち着いてきたときに、黒沢の方からバレエの話をし始めた。

「舞ちゃん、バレエは楽しく続けることができてるの」

「はい、今は周に二回のレッスンですが、楽しみにして、舞から進んで教室に行こうって言います。」

「ふふふ、それは楽しみね。」

「なんでも自分から動き出す事は、とても大切な事だものね。」

そう言って黒沢は、優しい目で舞をみていた。

「私とバレエとの出会いも、舞ちゃんぐらいの年齢だったかな。」

「小さな頃は、ただ楽しくてバレリーナになるって言って踊ってた(笑)」

「今の日本のバレエ界とは違って、コンクールも少なく、バレエ=コンクールじゃなかったかな」

「バレエ=芸術、昔の方が海外からのバレエの情報が入ってくる事は少なかったけど、バレエの伝統は守られて大切にされてたかな」

そう言って、黒沢は少し寂しそうな表情で話した。

「やっぱり黒沢さんは、バレエを踊っていたんですね。」

美喜は嬉しそうに言った。

「自慢話をしに来たんじゃない事だけ先に言っておくわね。」

「私は18歳まで日本のバレエ教室で学んで、19歳からイギリスのバレエカンパニーじ行き、29歳までバレエの舞台で踊ってたの」

「えー海外でバレエを踊っていたんですね。」

美喜は、すごいと思ったが、本当に理解する事は出来ていなかった。日本人は海外へ言っていたと言うだけで、すごいと思ってしまう悪いクセがあると思う。

今の情報が多い日本のバレエ界でも、海外へ行ったと言うだけで、自慢できてしまう。そんな日本の悪いクセは良くないと思う。

「世界のバレエ界は、今も昔も変わらずにバレエを大切にするために、沢山の人達が協力して動いているの」

黒沢は、美喜がすごいと言っている感覚をすぐに理解したので、深い話をしようとしていた。

「今、美喜さんはバレエの事を沢山調べたりしていると思う、調べてみてどんな事が分かってきてるの?」

「はい…調べて理解している事は、

・バレエを習う事はバレエ教室へ行く事。

・バレエ教室も沢山あるので、バレエの先生を選ぶと良いと言う事

・バレエを上手になる為には、コンクールに出場する為にバリエーションという踊りの練習をする事が大切だと言う事

・コンクールの練習・バリエーションを教えてくれない先生は、バレエを知らないので違う先生を探す方が良いと言う事

・コンクールの練習は、毎日でもする必要があると言う事

・海外のバレエ界へ行くためには、コンクールでスカラシップなどをもらって行くのが、バレエの道だと言う事

・バレエは厳しい世界で、人と競い合っいながら強く育っていく素晴らしいものだという言う事

舞も強くたくましく生きていける子に育って欲しいですのでバレエの厳しい世界で頑張る事は良いと思っています。」

そう言って美喜は真剣な顔をして黒沢へ答えた。

「今の話は、全てネットや情報誌を見てバレエを理解したのね。」

「今の日本のバレエ界の話だもんね」

「確かに日本にはプロのバレリーナになれるカンパニーが無いと言ってもいいから、日本のバレリーナがどこへ進めば良いのかがわからなくなって、最後は私はダメなんだって止めるしかなくなってしまう、寂しい世界になってるものね。」

そう言って、寂しい顔をした黒沢だったが、すぐに力強い表情に変わり話し続けた。

「美喜さんが、今日だけでどこまで私が話すバレエの事を理解してくれるか分からないけど。」

「私のバレエの事を話すって言ったけど、それよりも大切な事を話しておかないとダメだと感じたので話すわね。」

「舞ちゃんが、本当のバレエの素晴らしさを学んで素敵な女性・バレリーナに成長して欲しいと思うから。」

それから、2時間30分ぐらい黒沢は話し続けた。自分自身のバレエの経験も交えながら、バレエを通して何を学び育てていく事が大切な事なのか、本当にバレエを大切に思っている事が伝わる話し方だった。

美喜は、黒沢の話を最後まで集中して聞いていた。舞の為に大切な事をしっかりと理解たいと思っていた。バレエの世界を学ぼうとしていた。

お昼を過ぎても話は続いていた。舞の世話は主人がしてくれているので安心していた美喜である。

黒沢は、できるだけ伝わるように話をしたつもりだが、言葉に感情が入り込んでしまうことを知っているので、少し心配だった。

全体的な大切なバレエの話は出来たと思うので、今日はこれぐらいで終わっておこうと黒沢は思っていたので、

「お昼が過ぎてしまったわね。午後から用事があるので今日はこれぐらいにしておくわね。」

「また、次のお休みの時に感想を聞かせてくれる?」

「はい、次のお休みの時ですね。また来て下さるんですか?私は嬉しいです。それまでに頭の中を整理したいと思っていました。」

「また、お邪魔させて頂くわ!」

「ありがとうございます!」

そう言って黒沢は、舞と主人にも挨拶を交わして、笑顔で姿勢良く歩いて帰っていった。

美喜は仕事場以外で黒沢と会うのは初めてだった。歩く姿を遠くから見るのも初めてだったが、黒沢さんの仕草や姿勢は素敵だと思いながら見送っていた。

黒沢が帰り家族との時間を過ごした後、美喜は、少し頭の中を整理しようとしていた。

黒沢が言うにはバレエは人を育ててくれる。



バレエは人を育ててくれる。

黒沢は、日本のバレエ界だけを見ていた美喜と娘の舞の為に話してくれた。

黒沢のバレエへの想い

私自身、バレエを通して沢山の事を教えてもらった。バレエの歴史、バレエ用語、バレエを美しく踊る為の身体の使い方・ケアの方法、舞台の事、衣装の事、メイクの事、どれも美しいを追求した内容。

その美しい!を自分自身の為と考えていると上手くいかない事。人と競い合うのではなく、自分自身の心と会話する事が大切な事。

バレエは、自分自身の人間性を磨き上げて、人の為に踊る事がバレリーナの役割、自分自身の生きる力になる。

そうバレエを通して教わってきた。

日本でも、人の為に踊る気持ちを持っているバレリーナは沢山いる。でも日本では人の為に踊るバレリーナが認められないで、自分自身の為に踊っているバレリーナが認められるような世界になっている。

コンクールなども、夢を叶える為と自分自身の為に進むように仕組みが作られてしまっている。商売・仕事になってしまっている。

コンクールで入賞する為にバリエーションだけを何度も練習する。それがバレエだと思うしか無い環境に作られている。

バレエ教室も、バレエ教師も、日本では誰でも主催することが出来る。バレエを浅く知っているだけで、簡単に教えることが出来る。

バレエ教室を上手に経営して行くには商売の方法を学ばなければいけないと思うので、誰でも出来ないと思うけど、商売上手なら日本では上手くいく世界。

今の日本では、人として素敵なバレリーナを育ててくれる、バレエ教室・バレエ教師は少ないと感じている。

バレエの世界は、日本ではまったくわからない世界なので、教わる側も教える側も、分からずに進んでいる。

商売上手な人が関わってくると、その流れに流されてしまい、これがバレエの進む道!になってしまう。

とても寂しく感じている。

海外のバレエ界のように、バレリーナを育てる側と、バレエを踊る側にわかれる事が大切だと思う。

特にバレリーナを育てる側!

今の日本のバレエ界の大人が、その役割になると手を上げる事が大切だと思う。

自分自身が踊りたくてバレエ教室を主催している先生。当然バレリーナも育てていると思いますが、やはり中途半端だとわかっていると思う。

発表会は育てるための舞台です。先生が楽しむ舞台では無いと思う。

育てる側に手をあげている先生でも、商売の為にコンクールに力を入れる。バレエを深く学んでいないのでコンクールに力を入れている。

それぞれのバレエに関わる姿勢はでは、バレリーナが育っていかない。

間違ったイメージのまま教わり、育ってしまったバレリーナは、教わった先生の考えバレエを、次のバレリーナに伝え教えいく。

もう一度、日本のバレエ・次のバレリーナの為に、大人として育てる役割に手をあげて欲しいと思う。

育てる側になり、人を育てて行くことがバレエある。

バレエ教室を主催すると言うことは、本気で全てを引き受けて育てていく覚悟が必要である。

そう黒沢さんは、バレエへの思いを話してくれた。

美喜は、少しベランダに出て、黒沢さんと話した内容を思い出していた。

「日本のバレエが上手く進めていないのが、少しわかりました。」

少し考え込みながら美喜は感じたことを声にした。

「そう、何となく日本のバレエが上手く進めていない事を知って欲しかったので良かったわ。」

「これから美喜さんに、見て・学んで欲しいバレエは、今の日本のバレエ界だけでイメージして欲しくないの」

「ヨーロッパ・ロシア・アメリカ・カナダ・オーストラリアのバレエ界を少しでも見て感じながら、日本でどうすると本当のバレエを学べ、舞ちゃんが素敵な女性として成長するのかを考えて応援してあげて欲しいと思うの」

そう舞の為に真剣に伝える黒沢だった。

「舞ちゃんは、全くわからない年齢なので、舞ちゃんが素敵なバレリーナになれるかどうかは、お母さん・お父さんのバレエをどのように感じて応援するかにかかってる」

「だから、美喜さんが真剣にバレエの事、舞ちゃんの事を考えている事に感動してるのよ」

そう言って黒沢は、少し涙ぐんでいた。

それをみた美喜は、本当にバレエを大切に思っているんだと感じた。今日、話が出来たことに感謝していた。



美喜は、黒沢からバレエの話を聞かせてもらってから、大きな視点でバレエをみる事が大切だと感じていた。

「日本だけでバレエを知ったと思ってはいけないのよねー」

「バレエの歴史をまずは知る事が必要ね!」

そう思い美喜は、仕事の帰りに図書館へ行き、バレエの歴史が分かると本を探していた。

「バレエの歴史がわかる本はあるかな?」

「難しい本はダメかもなぁ」

「ん!バレエなるほどおもしろ読本」

少し古い本だったが、軽く読んでみると分かりやすい内容だった。

その本の内容によると、

バレエの発祥はイタリアである。
そこから、ヨーロッパ・ロシアへと広がっていき、その後、ルイ14世によりフランス国立のバレエ団が創設された。

それが、今のパリオペラ座バレエカンパニーへと繋がっている。

そのほかのヨーロッパの国でも、国立のバレエカンパニーが創設されていく。ロシアでも国立のバレエカンパニーが創設されていく流れ・歴史が始まった。

ヨーロッパを中心に、アメリカ・オーストラリアへとバレエは伝わっていく。

日本へは、ロシアの影響が最もあるようだ。ワガノアメソッドが日本では主流になっている。

日本のバレエの歴史は、ヨーロッパなどに比べると浅いということ。

「この本、とてもわかりやすくてバレエを学べそうだわ!」

そう言って、借りる事にした。

バレエの歴史を知ることで、バレエが楽しく好きになってきている美喜だった。

「バレエを踊っていないのに、バレエが好きになってきてる。おもしろい!」

バレエは、踊ることだけではなく、知ることでも人を育てていく。

本当にバレエは不思議で、素晴らしいものですよ!



美喜は、図書館で借りてきた「バレエなるほどおもしろ読本」を、毎日いそがしいが時間を作り読み続けていた。

「バレエの歴史だけじゃなく、バレエの舞台の見方もわかってきた。バレエをレッスンする事は全て舞台に繋がるんだな」

美喜は、読むことが楽しくなっているのを感じ、バレエを大きな視点から見て感じることが大切なんだと実感していた。

「舞のお友達のバレエ教室の発表会を見に行かせてもらった時は、バレエは一人一人出てきてバリエーションを踊る事が、すごいと思ってたけど。。。」

「全く違ったんだわ」

「間違ったバレエのイメージのままだと、舞も1人で踊れる教室へ通わせよう!ってなってたなぁ。。。」

「本を読むことが出来て良かった」

本には、バレエは1つの舞台・物語、全幕に沢山の人が関わって、見に来て下さる方のために力を合わせ、それぞれの役割に徹して、考えて準備して大切に創り出していく事がバレエの世界だと教えてくれている。

バレリーナの中でも、役割・役柄が違う。物語を創り出すには、配役が必要。誰もが1人踊っていては物語にはならない。

そこに上下関係があるのではなく、主役の為に物語を壊さないように演じて踊るバレリーナもいる。周りで演じているバレリーナの為に、大きなプレッシャーを引き受けて演じて踊っている主役のバレリーナもいる。

お互いを大切に思い、1つの舞台を演じて創り出すバレリーナとダンサー達。そのために、毎日レッスンを繰り返している。

最高の舞台を演じて創り出し、見に来て下さった方へ、感動してもらいバレエは素晴らしいと感じてもらうために。

バレリーナだけではなく、舞台に関係する全ての裏方の方も、同じ気持ちで舞台を創り出していく。

この全ての事が、総合芸術バレエだと!

バレエを全く知らなかった美喜に教えてくれた。

「もう一度、舞とバレエの進み方を考え直していこう!」

今の美喜は、日本の上手く進めていないバレエに流されないで、冷静に大きな視点で先へ進むことが出来るだろう。

バレエの世界を知り、大きな視点で見れるようになれば、今度は違う悩みが出てくる。

日本のバレエ界で本当のバレエを学ぶ難しいことが出てくる。

だけど、ここからが面白くなる!

娘の為にバレエを学べる場所・先生と出会うために、考えて動いていく。

それが、日本でバレリーナを目指す為の大切なポイントです。

小さなバレリーナさんと一緒に、大人として、親として、考えて動いて、出会って欲しいと思います。

美喜は、これから舞とバレエの進み方を、今のバレエ教室の先生と話し合うことに決めました。

バレエの事を考えるきっかけを下さった、黒沢にも感じた事、考えた事を、全部話すとバレエの先生とゆっくり話していくといいとアドバイスしてくれた。

「少し不安だけれど、それでも話をしないといけないと思う!」

「その前に、もっとバレエの事を学んでおこう!」

そう心に話しかけて、本を楽しみながら読み続けている。


続きは、更新していきます。ブログでもご覧いただけます。


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